髪は長~い友達


昔は床屋には漫画があって、それを読む楽しみのために通ったもんだ。小学校4年くらいになると、坊主頭にして、俺の頭をバリカンで借り上げるのが爺さんの仕事兼道楽となった。これは俺が高校の間、続いた。


大学に入ってから、床屋は苦行となった。誰だよ、大人の坊主頭が危ない人の髪型だって決めつけた奴は。戦時中の兵隊をイメージさせるってんで、うるさく言うようになったんだろうな。迷惑なこった。


長髪も坊主も両方経験したけれど、圧倒的に坊主頭が楽だ。女性もロングからショートに変えたときには手入れが楽になったと感じるに違いないが、坊主頭の気楽さは経験しがたいだろう。ほんと気持ちが良いよ。


とにかく、床屋の時間と金がもったいなくてしょうがない。床屋に三千円払う金があれば文庫なら5冊買えてしまうではないか。かくして、俺は3カ月に一度しか床屋に行かなくなった。幸い天然パーマなのでもみあげのあたりを適当にカットしておけば髪の毛が下に下がってこないのでゴマかせるのである。


いずれにしても、髪は短い方が、いっそのこと無い方が楽だと思うのは、今ここに沢山あるからなのだろうか。