日本の食


俺の生まれ育ちは東北の漁師町で、オヤジも含め周りのオジサン達も漁業に関係する人達ばかりで、遠洋漁業で北洋サケマス漁が盛んだった。そんなこんなで、今回のロシアによる射殺事件は複雑な思いがある。


俺の田舎じゃ北国の漁師でロシアの事を良く思っているヤツは一人も居ない。日ソ・サケマス漁業交渉で割り当てを決められ、がっぽりとゼニを取られ、挙げ句の果てには難癖付けられて拿捕までされる。このとき、実に粘り腰でソ連と交渉していたのが鈴木善幸さん。水産庁の海外交渉力が強いのは、この頃からの経験が蓄積されているからなんだろうな。


そもそも、ロシアが条約破って勝手に攻め込んだあげく、北に収容して死ぬほどこき使い、土地も勝手に奪っていったうえに、この仕打ち。舐めやがってと思いつつも、我慢するしかないという状況が現在まで続くわけだ。


だから、ソ連が解体したときには大喜びで、これで北方4島も帰ってくるだろうし、漁業がやりやすくなると思ったのだが、あろうことか千載一遇のチャンスを外務省は棒に振るわけだ。外務省は馬鹿かと思い始めたのはこのときだね。それまでは、まがりなりにも、エリートさん達だと言う刷込があったのだが、無能集団ぶりを見るにつけ、失望から諦めに変わっております。


そうは言っても、日本は海洋国でありながら、漁業に対しては非常に冷たいんだよな。補助金なんかあったかな。農家の設備投資がどうのって言うけど、漁船を一艘作るのには億に近いカネがかかるんだぜ。メンテナンスも半端じゃなく高いし、人の管理はもっと難しい。漁師の事故率死亡率はムチャクチャ高いし、遠洋漁業だと半年は自宅に戻れない。


最近は、人件費の安い国連中が魚を捕るようになったから、給料の面からもペイしなくなってきちゃった。だから、息子らには漁師にならないように言う始末、何にもメリット無くなっちゃったからね。後は衰退するばかり。漁を続ける事ができないレベルまで来ているので、密漁にまで手を出さざるを得なくなるわけで、そのあげくの今回の事故だろ。ホント、日本て国は漁師には冷たいよな。