昔語り(風呂編)

風呂は煮炊きする釜と同じように、土間の一角に風呂桶が据えられていて、脇に簀の子を置き、そこで体を洗ったり頭を洗ったりした。土間の一番奥にあるもう一辺には、薪と焚きつけようの割った竹が積み重ねてある。


家の造りだが、土地の周りをぐるり掘って水路にし、排水をそのまま流して海まで流すと言うのが基本構造。海がすぐ側なのと、急斜面の山がすぐ側にあるリアス式海岸ゆえ、雨による水量多いから悪臭とか衛生上の問題はなかった様だ。


風呂桶は木製。たらいと同じ板を組んで桶にする。風呂釜が脇に組み込まれてパイプを通って水が循環するようになっており、火力は当然の如く薪である。


シャワーなどというものは無く、頭を洗うも背中を流すも、風呂桶から水を組んで使用する。当然風呂桶に入っている分が無くなると終わりなので、少ないお湯で全体を流すコツが必要となるのである。流した湯は、例によってセキ(土間の脇から直接流れていく)に流れていく。


焚き付けの割った竹だが、これはお隣さんが竹籠屋さんだったので、捨てる竹の部分を貰っていた物である。乾燥していて燃えやすく、折ると、折口に繊維がほぐれてジャギジャギになり、マッチの火が燃え移りやすいのである。