真贋判別の手順


昭和天皇の言葉をメモしたものだと言う、富田メモの真贋について色々議論があったと思うのだが、何か争点がぐちゃぐちゃになっていて、どうも良く判らん。で、自分なりに整理してみました。


僕自身は「昭和天皇がどう思っていたかなんて関係ないでしょ」と言う考えですので、歴史学的には重要かもしれませんが、自身の行動に対する影響はほぼゼロ。なんでそう大騒ぎをするのか疑問です。


それよりも「事実の捏造」を新聞社が行って、何ら反省することが無いと言う状況になることにこそ危機感を感じると言うのが感想です。


前置きが長くなりました。独断ですが、次の順に検証が積み上がって行くものだと思っておりました。



1.物理的検証 - 筆跡、インクの種類と劣化による時代推定、記述内容の事実との無矛盾性

2.状況的検証 - 文献の出自、発見状況、他文献との照合

3.解釈的検証 - 文章としての内容解釈、文献全体の中での解釈、時代背景を含めての解釈。

4.人物の検証 - 記述者が記述した内容に、信用がおけるのか。



積み上げの途中の段階で偽物判定となれば、それ以降の議論は全て無駄になりますので、通常は順次行われるのが普通と思われますが、今回は特殊な事情および事の重大さ(?)のため、1~4の検証が前段階の検証が「真」であることを前提に同時並行で行われる事になり、混乱の元となったと思われます。


どうにも釈然としないのは、1、2の検証が不十分(私が知らないだけかもしれませんが)なのにもかかわらず、3.の検証のみがクローズアップされて「富田メモ」は本物であると言う前提に立った報道が殆どであると言うことです。1.2.の検証は本当に行われたのでしょうか?


4.に関しては、富田氏本人が事実と異なる文章を書いている可能性は無いか、と言うことです。徳川侍従長の発言を昭和天皇の発言にかぶせてメモを書いた可能性は無いかと言うことですね。白鳥・白取を間違えているようですので、後日に記憶を頼りに書いて居る際にごっちゃにしてしまった可能性も充分考えられると思われます。


以上の状況をもって、私自身は「富田メモ」の内容は、「未だ信用を置けるレベルに検証されて居ない。」と判断しております。


だから、どうだって訳じゃないけど、「韓国人の女子大生救出事件の真相」やら「NHK・朝日新聞どっちがホント」とか、フラストレーションが溜まる一方ですね。報道の自由も良いですけれど、国民の知る権利ってのはどうしてくれるんでしょうか。